会議録1。

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「あー……のさ、不味くはないよな?」 「───っ………、……」 「あーうん、ごめん何でもない……」 夢中になってくれるのは嬉しい限りなんだけど、せめて世辞の一言くらいは言ってくれても。 一応これは口に合ったってことでいいんだよな? 喜んでいいはずなのに素直に喜べなくて、外国人さんがフォークを置くまで黙って待つしかなかった。 カチャリと金属物が収まる音が響いた。 顔を上げると皿にあった1人前のつけ麺モドキは綺麗サッパリ無くなっていた。 口の周りや襟はタレでベタベタになっており、何だか小さい子供にご飯を食べさせた気分になる。 俺は次こそ期待を込めて外国人さんの青い目を覗く。 そんな俺に気付くとようやく外国人さんは真面目な顔で俺と向き合ってくれた。 といっても食い散らかして汚れた顔なんだが。 「──すみません、あの」 「な、何だ?」 「替え玉、はありますか?」 ………何でコイツ替え玉って言葉知ってんだよ。 心なしか目がキラッキラ輝いてやがる。 言いたいことは山ほどあったが、この様子を見たらもう色々どうでもよくなって脱力した。 「……欲しいなら作るぞ」 「食べたい!食べる!作って!」 急にパアッと笑顔が咲き誇ったのが本当に子供みたいで吹き出しそうになる。 それを必死に堪えつつ、俺は台所に向かった。 結局、外国人さんは残りのつけ麺4袋全てを食べきった。 最初の萎縮っぷりはどこへやら、今は清々しい笑顔を称え満足そうに腹を摩っている。 「あー本当に死ぬかと思った!ありがとう!というか滅茶苦茶美味しかったよこれ、何だったの?」 「つけ麺……っぽいもの」 これが外国人クオリティって奴か、ちょっと想像以上にフリーダムだった。 これで一週間は夕飯持たせるつもりだったのにまさか全部食われるとは、俺の食費………。 まぁこの人拾ったの俺だしな、自業自得か。 「つけ麺って言うのか、面白いな。本当に美味しかったよ、君は料理上手だ!もしかして実は一流コックなのか?なるほど、それなら納得できる美味しさだな。野菜やハムによる彩りも考えられていて、とても数分で作ったとは思えない出来だ。いや本当、素晴らしい!俺の目に狂いはなかったよ!」 「へ!?」 蕩けそうな甘い笑顔と一緒に今まで浴びたことのない讃辞を一気に浴びせられて顔が熱くなる。 うわー外国のリップサービスは凄いって本当だったんだ、なんだこのむず痒くなるセリフは!
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