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「鉛玉のプレゼントだろ?ご贈答用に良いのが入ったんだ」
どうやら、店主は世間話から商談に切り替えるつもりらしい。
後ろの棚に飾ってあった鉄砲を持ち出して、カイの目の前に差し出した。
「最新式のライフルだぜ!台座はクルミ材で照準も見やすい。三十口径の後装式。これがたったの七百ドルだ」
カイは、黒光りする真新しい鉄砲を眺めていた。
そして一言で答えを出した。
「高すぎる」
客がそっけない態度でも、雑貨屋の店主は食い下がる。
「特別にカーンを仕留めてからの後払いでもいいぜ!店と銃の宣伝になるからさ!」
カイは、それには自分が背負っている古い鉄砲を叩く事で答えた。
『こいつで充分』
こう言いたかったのだろう。
カイは、まだ何か言いたげな店主に背を向けて、足早に店を出た。
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