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カイは、家の外に出てきたアルに呼び掛けた。
「カイ! 久しぶりだな」
アルも大声で答えた。
アルは、声の大きさに比例して体も大きな男だった。髭が顔半分を覆い、いかにも山男といった風情だ。
年齢は、どう見ても四十代だった。
しかし実際は、カイと同じ二十七だ。
「カイ、聞いたぞ。カーンに食われそうになったんだって?」
馬車で近付いて来たカイに、アルは心配そうに尋ねた。
カイは、いかにも「心外!」と言った表情でそれに答えた。
「そんなデマを流したのは誰だ?」
アルは、慌てて返事をした。
「なんだ、嘘なのか?」
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