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二つの光る目の中間に、ライフルの照準を合わせた。
「引金は引くな。絞るんだ」
カイは、小さな頃から祖父に教え込まれた言葉を、呪文のように呟いた。
ーガキッー
撃鉄が落ち、石を叩く。
火花が散り、黒色火薬に点火した。
ーバーンー
一発の銃声が響き渡った。
立ち昇った煙が、まるで薄い膜のように視界を遮っていた。
火薬の臭いが鼻につく。
煙が消え、視界が戻る。
そこには、カイには信じがたい光景が待っていた。
「嘘だろ!」
二つの光る目が、そこにあったのだ。
そしてそれは、凄い速さで距離を詰めていた。
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