夜の森

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 森の朝は、とても心地よかった。  木漏れ日が、朝靄に反射して光のカーテンを作っている。  小鳥達のさえずりと樹木の湿った薫りに、カイの心は癒された。  猛獣が通った痕跡は、森の奥へと続いていた。  足跡、金色に輝く体毛、踏み分けられた草。  ヤツを見失うことなく追跡する。  二頭は並んで同じ方向に向かっていた。 「やはり、あそこに行くのか……」  カイは、水の流れる音を聞いていた。  音のする方向は、明るい光りが差し込んでいた。  そこは、森が途切れているのだ。  カイは、明かりに誘われるように進んだ。  ゴゥゴゥと、水の音が大きくなって行く。  森の先には、大きな川が流れていた。 「やはり、ここを渡ったか…」  猛獣達は、川を渡っていた。  そうすれば、自分達の痕跡を消す事ができる。
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