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廊下の窓からは部活をしている生徒の声が聞こえる。
部活って青春って感じで、楽しいんだろうけど、何となく遊びたい年頃の男子としては入る気にならないな…。
そんなことを思いながら、階段を下りてたら何となく空気が変わった気がした。
「柴崎蠍夜(しばさき かつや)君?」
ゆっくり振り返った直後に呼ばれた名前。
そう。俺の名前。
いや、今はそんなことよりも階段の上にいるシルエットの主だ。
窓から差し込む光で逆光になってて顔が見えない。
「…はい?」
何とも間の抜けた返事。
だって、平凡な俺としてはこの現状が何だか非日常的にしか感じないし?
妙に緊張してる俺。
そんなの気にも止めず、ゆっくり下りてくる二つの影。
下りてきた二つの影…基、二人の女子生徒に時間が止まった気がした。
一人は、腰まで伸びた綺麗な漆黒の髪を靡かせて、もう一人は見つめたら最後、目を反らせないくらい力強い目を眼鏡の奥に潜ませている。
とにかく、二人とも綺麗すぎるってことが言いたいんだよ、俺は。
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