2人が本棚に入れています
本棚に追加
母は、すごく焦っていた。
私と妹は、兄が病気になった、という事を知らされた。
しかし、今考えると、その頃の私は人間として最悪な考えをしたと思う。
大学生になりたてだった。
受験勉強から解放されて、女子大だったけれど、インカレサークルにも入って好きな人も出来た。
大学生活を十分に満喫していて、友達とも遊びたい、先輩とも遊びたい、好きな人から誘われれば、デートしたい、そんな感じだった。
深夜の12時近くに家に帰ることもしばしばあった。
兄が病気になる前は、そこまで怒られる事はなかったけれど、兄が病気になってから、
「何考えてるの?!お兄ちゃんがこんな大変な時に!!あんたは何してるの?!お兄ちゃんが心配じゃないの?!」
と母に怒られた。
もちろん、兄の事は心配だ。
私は、小さい頃から兄が大好きで、よく一緒に遊んだし、高校生の時だって一緒に買い物したり、カラオケに行ったりする位には仲良しだった。
だけど、大学生になりたての遊び盛りの私が母に言い放った一言。
「だって、病気になったら遊べないじゃん。健康のうちにいっぱい遊んどきたいし。」
もちろん怒られて反抗したかったというのは大きい。
だけれど、こんな事、今考えたら絶対に言ってはいけなかった。
最初のコメントを投稿しよう!