2人が本棚に入れています
本棚に追加
年が明けた頃、兄の病気の手術が難しいという話を知らされた。
それでも、私にはまだ実感が湧かなかった。
家族の為に頑張ろう、とか、兄の為に頑張ろうとか、そんな事はあまり思えなかった。
父が医師と言う事もあり、父の知り合いで優秀な医師を探し、その人に手術して貰う事になったという。
兄は入院が決まった。
家から車で一時間位かかる所の病院だった。
手術の成功率はかなり低かった。
むしろ、成功するのは奇跡なのではないか、と思うぐらいだったという。
それでも、手術しなければ、死は確定だった。
だから、しの少しの奇跡にかけるということを母と父は望んだ。
もちろん兄も。
この話は、術後に私が聞いた話で、入院してからも私には実感が湧かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!