僕の純情に、デリケートな愛を

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「……ね、俺のも触れる?」 手を持って、下に誘われた。 「……っ」 ……ぅわ、 コレ、宏太の…… 「これでおあいこ」 そう言って宏太の指が、私に触れる。 「……あ……ン……っ!」 「かんな……ここ、すごい濡れてる」 「だっ……だから、言わなくていいったら……!」 どんなに意地悪な顔をして私を見てるのか。 軽く睨みながら宏太を見ると、意外にも、気恥ずかしそうに微笑まれた。 「うん。 ……ちょー可愛い」 目元に、チュッと音を立ててキスされた。 身体も、心も、ふわふわに溶けて。 私と宏太は、ひとつになった。 「……ね、かんな、聞いてい?」 「……ん?」 腕枕をしてもらい、うつらうつらしていると、宏太が聞いてきた。 「かんながずっと好きだった奴って……どんな男だった?」 「え……どんな、って……」 私は、今でも鮮明に思い出せる180センチの長身の男性を脳裏に描いた。 「高校の、担任の先生だったの。 背が高くて、若くてイケメンで、生徒からすごい人気があって……」 ふぅん……と、宏太が面白くなさそうな声を出した。 「そいつの前で、かんなはちゃんと笑えてた?」 「えっ……」 質問の意図がよくわからないけれど、あの頃のことを思い出してみる。 バレーボール部の副顧問をしていた大政先生。 アップ姿も格好良くて、よく部活の練習をこっそり見に行ったりしていた。 だけど、あまりに大好きすぎて、前にでると上手に話もできずに、ただただぎこちなく笑うことしかできなかった気がする……。 今思えば、そんな状態で告白して、受け入れてもらえるはずなかったんだよね。 それに、大政先生には、水無月先生という本当に素敵でお似合いな大切な人がいた……。 「うまく笑えて……なかったかも」 「良かった」 「……なんで?」
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