志保子(しほこ)の悩み

16/33
前へ
/33ページ
次へ
私にメモを渡したレンは、すぐに男性化粧室へと消えてしまった。 声をかけるタイミングもなかった。 私はメモをジャケットのポケットへ仕舞うと、何事もなかった顔で席に戻った。 「志保子先輩、急ぎましょ! 終電が出ちゃう」 二人の後輩に急かされながらバーを出て、駅に向かって走った。 後輩たちと一緒に走りながら、私の胸中はメモのことでいっぱい。 駅の改札を目の前にして、私は立ち止まった。 二人の後輩は、私をじれったそうに見つめて言う。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加