革命の国

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「……アイン」 「何だ?」  しかし、数十秒程でアメリアに起こされた。起こした本人は返事をすることなく、アインの隣に移動して、その左腕をとると強く抱きしめた。 「……アメリア?」 「気のせいよ」  何が気のせいなのか分からなかった。今、アインの左腕は密着して座るアメリアの胸、腹の前を通る形でまっすぐに伸ばされている。他人の温もりが伝わってくるが、落ち着かない。 「アメリア」 「……しばらく、このままでいさせて」  アメリアの口から本音が漏れてきた。  先程のジルという男やヘイムは、見た感じでは二十代半ばといった年齢である。ちょうど二十歳であるアインはそれより少し若いが、アメリアは彼より更に若いのだのだ。強気で、年上の相手とも対等に話す彼女も、今は生命の危機に怯える唯の少女に過ぎないのだ。 「………」 「ちょっと、アイン!?」  腕を引き抜いてから体を捻り、アインはアメリアを強く抱きしめた。アメリアが少し暴れるが、すぐに収まった。 「アメリア、大丈夫だ。私が君を守る」 「……根拠も無いのによく断言できるわね」 「それだけの意志は、持っているということだ」  アメリアはいつものように『少女趣味』などと罵ることも無く、アインの腕の中で目を閉じた。 「すまなかった」 「え? 何のこと?」  しかし、突然アインが謝罪の言葉を口にしたので、アメリアの目はすぐに開いた。 「お前を危険な目に遭わせることになってしまった。他に手がないから仕方なかったが、出来ればあんな強硬策を受け入れたくなかった」  今は亡き女将から『アメリアを連れて行ってくれ』と頼まれているアインとしては、アメリアをなるべく危険な目に遭わせたくないという気持ちから言ったのだが、アメリアはこれを鼻で笑った。 「そんなこと? 宝剣の力を知って一緒に行くって言った時も、アインについていくってヘイムに言ってやった時も、私は危険な目に遭うことを覚悟した上で言ったわ」  それでも少し怖いけど、と小声で言葉を繋ぐアメリア。 「大体、あなたは1人でヘイム達から逃げることも可能だったはず。あの時は、逃げたら私やコルトさんに危害が加えられると思ったんでしょう?」 「………」 「その気持ちだけでも嬉しかったから、私はついてきたの」  そういって一度微笑むと、アメリアは再び目を閉じた。
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