革命の国

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 いつの間にか寝てしまったようだ。アインはアメリアの頬を軽く叩く。小さな呻き声をあげながら目を開き、開ききった瞬間に勢いよく体を起こした。 「あ……えっと、私……」  周りを見渡すアメリア。ジル、アインの順に目が合い、目をこすりながらも一礼する。 「なんでお前は彼女の枕になってたんだ?」 「あ……アイン、ごめんなさい」  アメリアが顔を赤くしながら頭を下げる。別に悪いことではないし、元々アインがしたことなのだが。 「構わない。それより、早く行こう。ジル、そろそろ作戦を説明してくれ」  アインが立ち上がる。ジルは言われるよりも早く鍵を開けていた。なるべく音をたてないように錆びた扉をゆっくりと押す。 「目指す部屋はヘイム・フロウドリィが使っている部屋。そこに乗り込んで奴を捕らえる」 「安易だな。複雑なことを今言われても困るが」 「下準備はもう終わっている。これは、お前の荷物か?」  隣の壁に立て掛けてあったのだろう、ジルが左手を伸ばして掴んだものは、あの宝剣と小袋だ。 「もう一つ、直剣が有ったはずだが」 「知っている。これらは囚人が死ぬまでは牢屋別に分けられて保管されているからな。だが、持ってくることができなかった」  ジルは掌を見せる。両手で持ちきれなかったらしい。  小袋の中身を確認しながらアインが牢を出て、アメリアが続く。見回すと、両隣の牢にはそれぞれ男が固い床の上で眠っている。恐らく、ジルの提案を断ったのだろう。 「……運命は変えられないのかしら」  同じく隣の牢を見ていたアメリアが、唐突に呟いた。ただし、それはアインも思っていたことだった。  彼等は、本当に罪を犯して牢に入れられたのだろうか。当然罪を犯した者もいるだろうが、アインのように都合が悪いがために口封じとして入れられた者もいるはずだ。それでも、貴族に目を付けられた自分が悪いと思って口を閉じたのだろうか。今更足掻いてもどうにもならないと、ジルの誘いにただ首を横に振ったのだろうか。  ただ、悲しい世界に生まれたと、自分の運命を呪ったのだろうか。 「いや、変えられる」 「例え変えられないとしても、今ここで足掻く事が重要だ」  アインとジルがほぼ同時に答える。そして、ジルが足早に移動を始めた。他の二人も彼に追随する。
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