第1話

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寒さで目が覚めた。 「……今何時……………、はぁ、まだ7時じゃん、………もう少し寝よう……」 今日は土曜日。俺の学校は一応進学校だから、ほぼ毎週と言っていいほど土曜授業がある。今日はそんなうっとおしい土曜授業がない。久々の休みなのだ。 寒さで目が覚めるなんて…と思いながら布団を頭までかぶり、丸くなる。が、なかなか暖まらない。というか寒過ぎる。 「……起きるか」 気に食わないが、眠れないのなら仕方ない。毛布を体に巻きつけ、リビングに向かう。まだ誰も起きていなかった。 暖房を入れてからテレビをつけるとお天気お姉さんがスタジオの外から、寒さなんて微塵も感じさせない笑顔で台本を読み上げている。 寒い中、ご苦労さんです…。 見ているこっちが寒くなってくる。 ……ん、あれ、なんだ、もう雪降り始めてるじゃないか。雨でさえ憂鬱なのに雪なんてたまったもんじゃない。寒過ぎる。 マグカップに牛乳をとぽとぽ注ぎ、レンジに入れる。「…2分、と……」 テレビを見るとさっきよりも雪が降ってきているようだった。チラチラと白い雪が画面を途切れることなく降り続く。 『続いて今日の気温をお伝えします。午前は……』 お天気お姉さんの笑顔はさっきと変わらない 。 どうしてわざわざ外から天気を伝えなきゃいけないのだろう。俺には理解できない。きっとプロデューサーか何かはすごいSなんだ。じゃなきゃこんなことさせない、そもそもなんの意味があるんだ。 『それでは、今日もお気をつけて。いってらっしゃい!』 画面がスタジオに切り替わった。 おいおい、えらく薄着だな。スタジオは暖房が効いているのか。 お天気お姉さんの笑顔を思い出して心が痛んだ。と同時に、イライラしてきた。どうして寒い中、無理に笑顔を作って、天気を伝えているのか。誰がそんなバカらしいことを考えついたんだ。 わからない…… イライラする………
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