好きな人

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「まぁまぁ。七々実のこと、とりあえず解放してあげなよ。」 英玲奈が、そう言ったから 私はムッと彼を睨みつけベッドに戻った。 不服そうに蒼甫が見つめてきているが、すぐに目を逸らす。 大体、目を見てれば言いたいことが分かるようになってしまっているから。 「つーか。七々実。」 「…なに。」 彼に背中を向けて、横になる私。 不機嫌口調でボソッと返答。 「・・・っっ!」 ごそごそっと布団の中に入ってきた彼。 「やっ…ちょっと。」 彼から逃げるように壁の方へ体を寄せるが、 あっという間に捕まり 「お前さ…。」 耳元で内緒話程度に小さく、そう呟かれ 「熱ねえだろ。」 「っ…。」 びっくりして、斜め上にある彼の顔を見上げた。 眉間に皺が寄っている彼。 …そりゃあ、そうだ。 風邪引いてると思った彼は、たくさんあれこれ買ってきてくれ おそらく時間的に早退までしてきたのだろう。 「・・・すみっ…ませんでした。」 彼の剣幕に圧倒され、びくびくとしながらの謝罪。 なぜ、分かったのだろうか。 あ…顔見れば大体わかるのかな。 ってことは、英玲奈とか健吾くんも感づいてたりして…。
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