好きな人

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彼らが去ってから、何故か蒼甫だけ残って…。 「お帰りになられては…?」 恐る恐る尋ねてみれば すごい形相の彼の顔があったので… 「いえ…なんでもないです。」 すぐさま言葉を訂正…。 でも、いま彼がいる意味が分からない。 今の状況も理解しがたく。 元カノの家で、 ベッドの上に2人横になり、 元カレが元カノを抱きしめている。 正確に言えば、捕獲されている形に近いんだけれど。 「でも…この手はおかしいでしょ?」 首とお腹に回された腕に目線を落として、そう訊く。 「さっき、お前だって抱き付いてきただろ。そのお返し。」 「もう・・・やだ。」 だから、嫌なんだ。 彼女がいても、平気でこういう事ができる彼が 凄く凄く嫌で…。大嫌いだ。 「…あと、ちょっとだけこうさせて。」 嫌がる私を更に強く抱き寄せ。 首元に顔を埋めている。 私が蒼甫の彼女だったときも… こうして他の女の子を抱きしめて。 私に好きだと言って、体を重ね…。 今の状況と照らし合わせれば、合わせるほど… 胸が酷く痛んだ。
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