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自分では、首の締め付け痕など見れないけれど、
感じる痛みから、大体のものが想像できた。
彼に”同じのがお腹にもあるかもしれない。”と言われTシャツを捲ってみれば
見事にくっきりと痕が残っていて。
赤紫のような色に変色しているお腹。
それを見た彼が、何度も”ごめんな。”と言いながら
お腹と首の痣を何度も優しく撫で、
温かい唇…濡れた舌を這わせキスを落とした。
”もういいから。”と制しても、聞く耳をもたず首を横に振り。
暫く1時間程続いた。
「なな・・・。」
顔を上げた彼は、今度は優しく包み込むように私を抱き締める。
「苦しくない?」
「うん…平気だよ。」
本当は、振り払うべきなんだけれど。
そんなことが出来る状況ではなかった。
「傷つけて、本当ごめん。…一生償うから。」
「え・・・?」
彼の言葉が理解できずに訊き返した私に、
「俺がちゃんと七々実のこと貰う。」
そう呟いた言葉が、ふざけてるような口振りには到底感じさせない程
真剣な強く芯の通った声だったから、おそらく本気なのだろう。
「…大丈夫だよ。きっと、この傷も誰かのお嫁に行く頃にはすっかり消えてるだろうし。」
彼を離して、目線を下に落としながら言った。
その台詞は、蒼甫の所へは嫁ぐ予定など無いと言い返しているようにも取れ。
言った後から、そのことに気付いた。
思わず、ぶるっと体を震わせる。
どうしよう・・・。
きっと、怒っているに違いない。
彼に、刃向うような返事を避けてきたにも関わらず
思わず漏れてしまった自分の言葉に酷く後悔だ。
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