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ドアを開けば、柔らかく微笑むシュウさんの姿があって。
「ぅっ…っ……んふっ。」
思わず、瞳から涙が溢れだした。
最近、涙脆くなってしまった気がする。
辛いことが多いせいかな。
シュウさんは、一瞬驚いた表情をすると
ふわりと抱きしめてくれ、あやすように背中を擦ってくれて。
そのゆっくりとしたストロークも、温かい彼の体温も。
全てが安心できて、緊張状態にいた私を紐解いていく。
彼の前だと、つい泣いてしまいたくなるんだ。
この前も、こうして彼に泣きついてしまって。
何も訊かずに、こうして温もりで包みこんでくれるだけなのだけれど。
それが、すごく心地いい。
そうしていると…
「七々実・・・なにしてんの?」
恐ろしく低い彼の声が後ろから聞こえ、バッと振りかえれば
「…蒼甫。」
階段の壁に凭れかかりながら、腕組をしている彼の姿があった。
眉間に大量の皺を寄せていて、口調からも表情からも
彼が酷く怒りに満ち溢れていることが読み取れる。
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