好きな人

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「蒼甫。そろそろ…」 シュウさんが優しく呼びかけるが、 「・・お前に何がわかんだよ。」 怒りに震えた蒼甫が、ワラワラと拳を下で握りしめて そう呟いた。 「蒼甫・・・。」 唇を噛みしめて、真剣な表情で彼を見つめている。 「フッ。わかんねぇよな。」 嘲笑いながら、シュウさんに近づいていき、 「愛にも金にも飢えたことのない、何不自由ない環境で甘やかされて生きてきたもんなぁ?」 怒りと悲哀が混じったような瞳を向け、挑発的に威嚇する。 「・・・。」 それを、逸らさずにジッと黙って向き合っていて。 「何もかも手に入れて。…大切なもん奪って、幸せ邪魔してどんな気分だった?」 彼らの距離が1メートル程に近づく。 ガッ――――― 距離がなくなり、蒼甫はシュウさんの胸倉を掴み上げ バンッ――――――― 玄関の扉に強く突きつけた。
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