116人が本棚に入れています
本棚に追加
「七々実まで失いたくねえんだよ・・・。」
彼の背中が震えていて。
私は、思わずそんな彼の背中を優しく抱き締めた。
「分かってる…けど、もう話が進んでしまっているんだ。これだけは私にも何も出来ない。」
シュウさんの表情は、苦しげにも見えた。
蒼甫に、切なそうな愛おしそうな瞳を向けているような気もした。
二人の間で何があったのかも
何の話をしているのかも分からない。
ただただ、いつまでも床に這いつくばっている蒼甫を
優しく抱き締めて温もりを感じさせてあげることしか出来ず。
「私は、どこにも行かないよ…蒼甫。・・・ずっと、蒼甫の傍にいる。」
そう、自然と口が動いていた。
彼が愛に飢えているんだったら、私が満たしてあげて。
たくさん、愛してあげるね。
何に怯えていて、何が苦しいのか分からないけれど。
彼が私を求めているのならば…そばにいてあげたい。
最初のコメントを投稿しよう!