好きな人

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「七々実まで失いたくねえんだよ・・・。」 彼の背中が震えていて。 私は、思わずそんな彼の背中を優しく抱き締めた。 「分かってる…けど、もう話が進んでしまっているんだ。これだけは私にも何も出来ない。」 シュウさんの表情は、苦しげにも見えた。 蒼甫に、切なそうな愛おしそうな瞳を向けているような気もした。 二人の間で何があったのかも 何の話をしているのかも分からない。 ただただ、いつまでも床に這いつくばっている蒼甫を 優しく抱き締めて温もりを感じさせてあげることしか出来ず。 「私は、どこにも行かないよ…蒼甫。・・・ずっと、蒼甫の傍にいる。」 そう、自然と口が動いていた。 彼が愛に飢えているんだったら、私が満たしてあげて。 たくさん、愛してあげるね。 何に怯えていて、何が苦しいのか分からないけれど。 彼が私を求めているのならば…そばにいてあげたい。
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