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「ななちゃん…少し話をさせてもらえるかな。」
シュウさんが、困った表情で私に尋ねる。
私と…?蒼甫と…?
どっちだろう…。
そう考えていると、
「ななちゃん。少し時間ある?なかったら、明日でもいいよ。」
優しく微笑みかけながら、そう訊く。
今日は…色々ありすぎて、疲れちゃったし。
明日は…バイトだ。
「七々実と絶対に二人きりでは会わせられねえ。話があるなら、俺が付いていく。」
抱きしめている彼の背中が起き上げられ
シュウさんを強く睨みつけた。
「そうだね。一緒の方が話がしやすいかもしれないし、いいよ。」
今の状況には適さないほどの穏やかな口調ぶりで。
蒼甫にそっと、片腕を伸ばす。
けれど、シュウさんの差し伸べた手を無視して。蒼甫は膝をつき立ち上がった。
その後、明日のバイト終わりに会うことが決まりシュウさんは帰って行き。
それから、私はいつもと違う表情をした彼の手を包みこみ
一緒に自分の部屋の2階へ向かった。
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