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思ったより声が大きかったのか、クラスの注目を集めてしまった。 それに気がつき少し赤くなるお坊っちゃま、案外可愛い奴なのかもしれない。
どうしたものかと視線を泳がせていると遠くに座っている隼人と目があった。あいつこんな時まで楽しそうにしやがって……。
「こんな悪魔もどきと関わらない方がいいですよ」
2つ大きな咳払いをしてから話を元に戻した。可愛いのか失礼なのかどっちかにしろよ。
「あたしの友達をバカにされてるのにほいほいついてくと思う? それに光は悪魔もどきじゃなくて立派な悪魔だわ」
「何でお前までオレのこと傷つけてるの?」
敵多すぎぃ!
これを聞いてお坊っちゃまは顔を真っ赤にしてプルプル震えている、今度は恥ずかしさではなく怒りが抑えきれないのだろう。
「……お、覚えてろよ!」
捨て台詞を吐き、後ろの子分たちを連れて教室から出ていった。 覚えてるも何も、名前すら教えてもらってないんだけど……。
教室もいつの間にか元の騒がしさを取り戻していたが、時折向けられる視線が背中にチクチクささる。無視無視。
「……ったく、変なやつも居たものね」
変なやつで片付けられてしまったお坊っちゃまに少し同情する。
「でも案外冷静なんだな、昨日はあんなにだったのに」
「あ、あれは隼人くんだったから……」
顔赤らませながら段々声のトーンも低くなっていく。 あーはいはい、青春青春。
「光さん、遥さん、何があっ……「ほらとっとと席に着けー」
何かピンク色の物が言いかけていたが、教室に入ってきた若い女性によって遮られた。 可哀想な子……。
若い女性に続き、さっき教室を出ていったお坊っちゃまズが恥ずかしそうに入ってくる。
……可哀想な子。
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