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隼人と待機列に並び、自分の順番を待つ。 長蛇の列だが意外とスムーズに進んでいく。 測定自体さほど時間はいらないらしい。
「隼人はこれ何回目なんだ?」
「数えたことねぇな。 少なくとも年一回はやってるぞ」
結構やってんだな。 通りでそわそわしてるのはオレだけな訳だ。
「お前らやる意味あるの?」
オレ以外は今までにやったことあるんだろ? そんな何度も必要なものなのか?
「最初だから登録の意味もあるんだろ。 それに総数も属性も成長するしな」
総数の成長はなんとなくわかる、 器が大きくなるんだろう。
「……属性も成長するのか?」
「成長というか属性が増えることが稀にあるんだ。 属性は先天的なものだが、ある日突然増えたりする、……理由はまだ解明されてないけどな」
声のトーンが段々下がってくる。 よくわからないが暗い部分もあるらしい。
そっか、と適当に相槌を打って会話を打ち切る。 結局オレたちの順番になるまで言葉をかわすことはなかった。
まるで世界から切り離されてしまったように、隼人は1人、静寂を保っていた。
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