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部屋に入ると薬品の匂いがして鼻が少しつんとする、保健室なんだろうな。 入って直ぐのところに机と椅子が用意され向かい合うように白衣を来た薄青色の髪の女性が座っていた。
「七辻君ね。はいじゃあ座って」
ぼーっと部屋を見回し突っ立てたせいか、苦笑いを浮かべながら女医さんが声をかけてきた。
急に名前を呼ばれたから府抜けた返事になってしまったが平静を装い椅子に座る。 目の前の机には水晶玉のようなのが置かれている。 どうやらこれで魔力やらを調べるらしい。 魔法の国に来てまで採血とかだったら多分泣いてた。
「これに魔力込めてみて」
「はい」
……なにそれどうやんの? とりあえず水晶玉に右手を置いて力を入れる。 久々に右手が疼くぜ……。
「属性は……火と水ね」
水晶玉にくっつくんじゃないかってくらい顔を近づけて目を細めてながら言った。 そんな見辛いですかねぇ……。
「次は総数だから本気で込めてね」
まるでまだ本気出してないような言い方、全力以上出してるつもりなんですけど。
うおおお、と心の中で叫びながら右手に力を入れる。 これ本気だからね!
それでも女医さんは微妙な表情で水晶玉を見てる。 これ以上は無理です。
「もういいわよ」
ふっ、っと息をはいて水晶玉から離れる女医さん。 なんかオレより諦めるの早くない?
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