しかし実力が足りない!

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「……四季 奏多(シキ カナタ)です」 どうやら名前は言えるらしい。 流石に名前わからなかったら名付け親になっちゃうところだった。 この発想はおかしいな、うん。 「奏多ちゃんは何歳なのかな?」 遥が愛らしそうに肩にかかるサラサラなピンク色の髪を撫でながら笑顔で聞く。 奏多も、うへへー、とでも聞こえてきそうな幸せそうな表情。 さらに幼く見える。 そんな奏多が元気いっぱいに答える。 「15歳です!」 遥の撫でる手が止まる。 考え事をしていたらしい隼人の動きが止まる。 「……なん……だと!?」 オレは無意識のうちに言葉が零れていた。同い年……だと!? 「何でそんなに驚いてるんですか?」 オレたちが停止したのを見て、きょとんとした表情をする。 驚かないと思っていたことにも驚きだよ。 「……あー、何で迷子になってたんだ?」 隼人が頭痛でもするかのように手を頭に当てる。 「失礼ですね、私も今年からここの生徒です」 さっきまでの不安そうな表情はどこへ消えたのか、明るいトーンで答える。 「わかったわかった。 ……じゃあ何で俺に声かけたんだ?」 「お友達を作ろうと思って声をかけたのがたまたまあなただっただけです」 「でもお前、『あの……』しか言わなかったじゃねぇか」 「それは少し恥ずかしかっただけです」 えっへん、と腰に手を当てる。 それを見た隼人と遥は大きくため息をはく。 この二人の苦労は一体……。
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