しかし実力が足りない!

12/16
596人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「……ところで光、どうだったんだ?」 もう考えたくないのか、隼人は適当にオレに話題を振る。 どうというのは先の魔力測定を指しているのだろう。 「あー、属性は火と水だったぞ」 ほう、へぇ、ふえぇ、と三者三様の驚き方をする。 ……最後のなんだ。 説明を求めるような視線を投げ掛ける。 「打ち消しあう属性を持つのは結構珍しいんだ。 まぁ使いようによっちゃプラスになるかもしれないがな」 「はいはい!」 奏多が元気よく手をあげる。 どうやらこの子はここが小学校と勘違いしているようだ。 早く家に帰さないと。 「はい、カナちゃん」 優しく指名する遥。 だめだ、こいつも早く家に帰さないと。 「私は火と光でした!」 ふと、学園に着いたときの隼人の説明を思い出した。 最初に見かけたピンクはこいつだったのかも。 偉いねー、と遥がピンクの髪を撫でる。 二人ともこの上なく幸せそうな表情。 なにこれ雰囲気までピンクになりそう。 「で、総数は?」 隼人が無理矢理話題を戻す。 やっぱり来てしまったか……。 「総数に上限ってあるのか?」 期待を込めて、ほんの少しだけ期待を込めて聞いた。 「は? ねぇよ」 さも当然の様に答える。はい詰んだー。 絶対笑われるじゃん……。 どうやってこの状況を回避しようかと考えていたオレの沈黙を不思議に思ったのか、逆に3人の注目を集めてしまった。 覚悟を決めるか……。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!