しかし実力が足りない!

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「できるじゃねぇか」 「……らしいな」 隼人に言われてもぼーっとしてしまい曖昧な返事しか出来なかった。 視界の端で奏多がむふー、と息を吐きながら腕を組み頷く。 全く落ち着きのない子である。 そんなことを考えていたら気が抜けてしまったのか、水の塊が光となって消えてしまった。 「火でもやってみたら?」 それもそうだなと思い、遥のアドバイスを受け入れることにするか。 ……でも熱そうだな。 一抹の不安を抱きながらも、さっき教えてもらったプロセスを思い出す。 へそ辺りに集中してと、……あれ? 「……魔力感じないんだけど」 ようやく感じられるようになった魔力が今はなくなっていた。 「測定は正しかったってことだろ」 見慣れた邪悪な笑み、言葉の意味を理解し少しへこむ。 結局魔力は5しかねぇのかよ……。 「でも辛そうには見えませんねー」 不思議そうに首を傾げる奏多が言いたいことがわからんでもない。 魔力が底を尽きると体がダルくなると隼人は言った。 でも今のオレはそうは見えないのだろう、実際ダルくも辛くもない。 そしてその答えも察しはつくが認めたくない。 「元々の魔力が少なすぎるから変わらねぇんだろ」 この悪魔め……。 その忌々しい笑顔を引っ込めろ。 「流石光さんです!」 何が流石なのか分からないし、その無邪気なキラキラした尊敬の眼差しが逆にオレを傷付けてるのに早く気が付いて欲しい。 「……はぁ」 ため息を隠す気にもなれないよ、全く。 でも、ならどうして……。 オレは崖から落ちた時のことを思い出していた。
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