しかし度胸が足りない!

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オレは別に人気者になりたいわけではないし目立ちたいわけでもない。 しかしまぁ黒髪のこともあるし多少は注目されるんじゃないかと思っていた時期もありました。 蓋を開けてみればなんだこれ、隼人無双じゃねぇか。 教室の窓側の一番後ろの席に座る彼、その周りにはクラスの半数以上が群がっている一方で、オレは教卓の目の前の席に座っている。 完璧に蚊帳の外。 隼人人気は先ほど行われた入学式の新入生代表を務めたからというわけではない。 こちらではかなりの名家の長男という肩書きにあのルックスが相まって昔から知る人ぞ知る有名人なのだ。 というのを、本来隼人の隣の席のはずの遥があの集団に弾かれたのか、わざわざオレのところまできて愚痴るように説明してくれた。 隼人はめんどくさそうにあしらっているのに黄色い歓声が一々上がるもんだから遥の機嫌もどんどん悪くなる。 隼人を睨んでるのか、周りの集団を睨んでるのかわかんないけど一番近くにいるオレが恐怖を感じる。 お前ら早く解散しないとホントに危険だから、主にオレが。 視線を泳がしていると隼人の周りの集団の外側をわくわくしながら中を見たそうにぐるぐる回っているピンクがいた。 奏多も同じクラスだったのか、それにしても相変わらず落ち着きがないな。 まぁ落ち着きがないのはオレもだったんだが、さっきからオレに向けられる視線が疑惑や恐怖の類いのものばかりなおかげで落ち着いたというよりは落ち込んでる。 なんだこの状況……。
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