第38話

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「診療時間なんて、もうとっくに過ぎてるよ」 その言葉に納得させられ、 再び引きずられるようにして歩き出す。 病院の敷地内に入り、その端にある狭い通路を通り過る。そのまま裏手にまわると、確かに奥村くんの言った通りに「俺の実家」があった訳だ。 いや、でもでも!「実家」? どうしてなんだろうと考えても答えは出ない。 「……あの、なぜここに?」 「ああ、もとはと言えば香織先輩のせいで、俺も悪いし、市原もだし……」 隣では、またブツブツと訳の分からないことを呟く奥村くんの姿。 「あの!」 はっきりしない答えに私は声を張り上げる。すると漸く奥村くんはこっちの世界に戻ってきてくれたようだ。 ハッとした様子で私を見下ろした。 「あ、ごめんごめん!」 「だから、どうしてここに来たんですか?」 「え?ああ、うちの家族に会ってほしくて」 「へ?」
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