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私を掴んだ唯の手はいつの間にか離れていた。右手に傘を持つ唯と、その隣には私。
チラっと隣の唯を見上げながら、私、26歳にもなるのに人生初の相合い傘だわ……とか思ったりする。
「……なんかさ」
ふいに話し出す唯の姿は、綺麗で
悲しくって私にそっくり。
「ん?」
「なんかさ。もういいだろ?」
「何が?」
「だから、もう会社でも俺達知り合だってバレてもよくね?」
「てゆーか唯が言い出したんじゃん!あの時みたくなるのは嫌だから会社では関わるなよって」
「そーだっけ?」
ヘラっと笑う唯に若干イラつきながら、私は疑問を投げかけた。
「なんで、いきなり?」
「あー、なんとなく?」
唯の発言を聞いて、私が眉間にシワを寄せると、唯は目尻を下げて微笑み、私の顔を見下ろした。
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