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雨の中を二人で歩き、駅近くの居酒屋まで辿り着いた。
「ここでいい?」
「 いーよー」
傘を閉じる唯を見ながら、軽い返事を返す。
「ここ、うちの部長のおすすめらしいから。ここの卵焼きは絶品だって言ってたぞ」
「マジか!?絶対食べるー!」
思わず笑顔になってしまうお調子者の私は、初めて入るこのお店に心踊らせていた。
こじんまりとした佇まいの木の造りで出来たこの居酒屋は、その玄関先には小さな和紙で出来た行灯が照されている。
居酒屋の扉を開けると、エプロン姿の男性店員がニカっと笑顔で接客する。
「いらっしゃいませー!何名様でしょうか?」
ガヤガヤとした店内は照明が少し薄暗く、完全個室の座敷のようだ。
しかし、その時。
「おーー!市原!!」
何やら、どこかで聞き覚えのある声。
「げっ!!」
唯の動揺する声がして、どうしたのだろうと思い、私は唯の後ろからひょっこり顔を出す。
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