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唯の肩越しから見える彼と私の視線が絡む。すると彼はピタリと動きを止めて、私と唯を交互に見たのだった。
「む、かいさん!?え?なんで市原!?二人、一緒なの!?」
アタフタする彼と、ポカンとする私と、タメ息を吐く唯と、それを見て困惑する店員さん。
店員が困った様子でこっちを見ると、彼はその視線に気が付いた。
「あ!市原こっち!向井さんも一緒にどーぞ!二人とも俺らと同じ席でイーっす!」
彼は勝手に店員に話を進めたのだ。
無言の唯を見て、『おい!そこは、断ろうよ!』と心の中で叫んだところで今の情況は変わることはない。
顔面蒼白の唯の腕を掴んで奥の座敷に歩き出す彼を見たらそんなこと言えるはずもない。
「 みんなで飲んだほーが楽しいでしょー?」
彼はそう言いながら私に微笑んだ。
「はい……そうですよね」
釣られて愛想笑いをした、私はバカだ。
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