409人が本棚に入れています
本棚に追加
入社当時の唯のモテっぷりは凄かった。いや、今でも凄い。
サラサラな黒髪、二重できりっとした大きな瞳、すっと通った形のいい鼻、薄い綺麗な唇。
背も高くスタイルもいいので、世の女性たちは唯のことを放っておく訳がない。
だから、分かる。
私も彼と、唯と同じだから。
「なにボケッとして、ずっとこっち見てんだよ?」
「ん!?」
「お前さっきから人の話、全然聞いてなかったろ?」
「いや……うん。で?なんの話だっけ?」
「……………」
ヤバい。ボケッとして唯の顔をジロジロ見てただけで、話なんか全然聞いてなった。
唯はテーブルに頬杖をついて不機嫌な顔でムスっと私を睨み付ける。
「ごめん!大事な話だった!?」
私は、両手をパチンと合わせて許しを乞う。
「別に。つーか、そろそろ帰るぞ。明日俺、朝イチで会議なんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!