第1話

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入社当時の唯のモテっぷりは凄かった。いや、今でも凄い。 サラサラな黒髪、二重できりっとした大きな瞳、すっと通った形のいい鼻、薄い綺麗な唇。 背も高くスタイルもいいので、世の女性たちは唯のことを放っておく訳がない。 だから、分かる。 私も彼と、唯と同じだから。 「なにボケッとして、ずっとこっち見てんだよ?」 「ん!?」 「お前さっきから人の話、全然聞いてなかったろ?」 「いや……うん。で?なんの話だっけ?」 「……………」 ヤバい。ボケッとして唯の顔をジロジロ見てただけで、話なんか全然聞いてなった。 唯はテーブルに頬杖をついて不機嫌な顔でムスっと私を睨み付ける。 「ごめん!大事な話だった!?」 私は、両手をパチンと合わせて許しを乞う。 「別に。つーか、そろそろ帰るぞ。明日俺、朝イチで会議なんだよ」
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