第1話

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私のアパートの最寄り駅から会社までは二つの駅を挟み、やっと会社の駅まで着くとそこからまた歩き出す。 行き交う人々とそこから流れる朝の風。足下からはカツカツと軽快に響く、私のパンプスのヒール音。 爽快に歩くこと15分で目の前には大きな造りのビル。 会社の入り口を抜け、受付を通りホールへ向かうと、今日も嫌と言う程、私の周りに視線が注ぐ。 エレベーターが降りてくるのを待つこと数分。 「おはよう!向井さん」 ニッコリと私に微笑むイケメン男性社員。 「おはようございます」 すかさず私も鉄壁の造り笑顔でニッコリ。 「 俺、向井さんと話してみたかったんだよね!」 朝からニコニコの彼。 「ありがとうございます」 いつもの様にそつなくかわす私の対応はお手の物なはず。 「今度さぁ、一緒にーー」 彼がそう言いかけたとき、エレベーターの扉が開き、乗り交う人々の群れに連なり私乗り込んだ。 聞こえなかったフリを完全に決め込んで、朝から面倒事とはおさらばだ。
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