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エレベーターを降りて会社のオフィスへ向かう。
うちの会社は、ざっくり言うと大手アパレル企業。
大体のアパレル企業では、新卒の採用試験が一般職と総合職に別れていて、私は一般職での内定を勝ち取った。
『アパレル関係の仕事』そんなものは、私の住職動機に必要なかった。
優良企業の安定!安定!ただそれだけでこの会社を選んだ。
私の仕事に装飾やらセンスやらなんて必要皆無。暇なわけではないが、毎日が激務なわけでもない。
毎日パソコンと睨めっこの事務処理のはっきり言って地味な仕事。
仕事が忙しいのが大好きです!と言う程、仕事人間でもない、お気楽OLの私にとってはぴったりの職場だったのかもしれない。
「おはよー!!すみれちゃーん!」
朝からハイテンションなこの声の持ち主は私の二つ年上の高橋香織先輩。
「おはようございまーす」
挨拶を済ませた私は、自分のデスクに腰を下ろそうとした。
「すみれちゃーん!あれ!奥村くん!!なに!?知り合いだったわけ!?」
「誰ですか?奥村くんて?」
「えー!?知らないの!?奥村くんだよ!!さ っきエレベーターの前で!話してなかった!?」
「ああ、あの人。奥村くんて言うんですか?今朝初めて話しましたよ」
「あれだよ?すみれちゃんと同期なはずだよー?確か!企画の市原くんと同じ部署だったはず!!」
「先輩!とりあえず仕事しましょう」
妙にニヤケながら香織先輩は私に話を続けが、私は先輩を一旦なだめることにした。
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