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そのままの体勢で目的地に着いた。
愁はその人の事を捕まえる気でいたけど止めた。
女の人ならともかく僕は男で…怪訝な目で見られるのは分かってるから。
「ありがとう、気付いてくれて…本当、いつもありがとう」
「何だよ~?今更じゃん。希聡に振りかかる災難は徹底的に潰す……あのおっさん捕まえなくて良かったのか?」
「時間割かれると思うし…それに愁が助けてくれたからいい」
照れくさそうに笑う愁と一緒に駅のホームの外に出る。
春の季節朝特有の薄暗ささは無くなってとても晴れた空が広がる。
「―――あっ!天野くんじゃんっ!おはよ~?えっとぉ…そうそうっ!東くんもおはよ~」
後ろから声が掛かってきて振り向いたら、昨日愁の周りにいた二人の女の子が手を振っていた。
「奇遇だねぇ~、ここの電車なんだぁ~、あたしら天野くんに朝から会えて嬉しい~」
あ…、知ってる…。
愁の腕に自分の腕を絡めた子を見て高校時代の頃の事を思い出した。
こういう子は愁狙いなんだ。
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