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「希聡(キサト)」 無事志望大学に合格した僕はぼんやりと大学の教室でこの大学の説明が書いてあるプリントを見ながら座っていた。 「愁(シュウ)、来てたんだ」 あれから僕は二十歳になった。 高校の時に彼からそう告げられて別れてから僕は彼と会っていない。 別れを告げられた数日後に全くいいタイミングで彼の親が転勤になって家族全員で引っ越していったから。 連絡もしてない。 「希聡大丈夫か?人多いよな…。オレ隣座って大丈夫?」 「愁がいれば安心出来る」 ぽんぽんと隣の椅子を叩いていいよと笑った。 あの出来事以来僕は見事に元々の人見知りが極度の人見知りになったのだ。 まぁ…それなりにわけが解らなくてショックだったんだけど…。 高3の時にそんな僕に話し掛けてきてくれたのがクラスメイトの愁で。 それからいつも一緒にいてくれる、心休まる人。 だけど……、愁はいわば人気者だった。 誰にでも明るく話し掛けて、面白くて、皆に優しいんだ。 男女問わず皆に慕われてた。 .
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