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飲み終わる頃には店内も大分賑わってきていた。
「―――行くか」
そう言って立ち上がるが…。
「どこに?」
「………言い出しっぺが何言ってんだと思うけど久しぶりにオレの家に来るか?」
なるほど。
「計画も何も考えてなかったんだね…」
「うっ……………、す、スイマセン」
しゅんと落ち込む愁を見て可愛いのはそっちじゃないかと言いそうになる。
「別にいいよ。久しぶりに愁ん家行く」
「ほんっとごめんなさいね」
それぞれのお代を分割して、愁が変わりに払ってくれるのをカフェ店の外で待つ。
と、二人組のカップルが僕の目の前を通り過ぎようとしていた。
あぁ…彼も茶髪だったな…と思った。
僕の目の前を通る瞬間に見た横顔。
えっと声が出そうになって目を擦って見たけれど…違う全くの別人だった。
驚き過ぎて…彼の姿に見えてしまったことによって詰めていた息を開放する。
無意識に……心は彼を探していたんだ…。
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