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意識を手放し掛けたが、そこはグッと堪える。
男の子だからね。
そして、僕はゆっくりと、本当にゆっくりと声の方へ視線を向ける。
出来れば、振り向きたくない。絶対に、やばいのが居る。
早くお家に帰りたい、妹の作ったミートスパゲティとソーセージが食べたい。その後、一緒にゾンゲーして寝たい、そんな葛藤があった。
そして、意外! そこに居たのは女性ッッッ!
化け物でもなく、妖怪でもない。
一人の女性が微笑みながらそこに居たのだ。
「それも不正解です」
「不正解? 不正解ってなんですか?」
僕は問い掛けた。
そして両足に視線を向ける。
両足確認。
これで人間ということが証明出来た。
「ですから違いますって」
女性は苦笑しながら左右に首を振った。
なんだろう、会話が噛み合って無い様な気がしてならない。
「え、えーと……。その」
「大丈夫、気になさらずに」
僕がしどろもどろしてるのを見兼ねてか知らないが言葉を遮り、どうぞこちらへと、女性は小屋に歩み出した。
小屋に入るまで、お互い無言である。
気まずい、凄く気まずい。
というか、僕は割と人知りをしてしまうタイプの人間なので、こういうこと自体が苦手なんだよなぁ。
と、しみじみとした感じだが、僕はなにしてんの?
帰ろうとしたんだよね?
はあ?
とか、思っている内に小屋の中である。
恐い。
ちらり、前にいる女性に視線を向けると、彼女もこちらを見ていたのだ。
視線と視線、負けたのは僕だ。
そう、五秒くらい見つめ合って、僕は目を逸らしたのである。
「照れ屋さんなんですね」
「いえ、あの、一応、というか、その、初対面ですし」
「初対面? 私たちは何度もお会いして居ますよ?」
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