第1話

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意識を手放し掛けたが、そこはグッと堪える。 男の子だからね。 そして、僕はゆっくりと、本当にゆっくりと声の方へ視線を向ける。 出来れば、振り向きたくない。絶対に、やばいのが居る。 早くお家に帰りたい、妹の作ったミートスパゲティとソーセージが食べたい。その後、一緒にゾンゲーして寝たい、そんな葛藤があった。 そして、意外! そこに居たのは女性ッッッ! 化け物でもなく、妖怪でもない。 一人の女性が微笑みながらそこに居たのだ。 「それも不正解です」 「不正解? 不正解ってなんですか?」 僕は問い掛けた。 そして両足に視線を向ける。 両足確認。 これで人間ということが証明出来た。 「ですから違いますって」 女性は苦笑しながら左右に首を振った。 なんだろう、会話が噛み合って無い様な気がしてならない。 「え、えーと……。その」 「大丈夫、気になさらずに」 僕がしどろもどろしてるのを見兼ねてか知らないが言葉を遮り、どうぞこちらへと、女性は小屋に歩み出した。 小屋に入るまで、お互い無言である。 気まずい、凄く気まずい。 というか、僕は割と人知りをしてしまうタイプの人間なので、こういうこと自体が苦手なんだよなぁ。 と、しみじみとした感じだが、僕はなにしてんの? 帰ろうとしたんだよね? はあ? とか、思っている内に小屋の中である。 恐い。 ちらり、前にいる女性に視線を向けると、彼女もこちらを見ていたのだ。 視線と視線、負けたのは僕だ。 そう、五秒くらい見つめ合って、僕は目を逸らしたのである。 「照れ屋さんなんですね」 「いえ、あの、一応、というか、その、初対面ですし」 「初対面? 私たちは何度もお会いして居ますよ?」
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