泡沫の夢

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「つまり、綺麗なままで誰にも見つからないのが良いの?」 彼が私の意見をまとめる。 「出来るの?」 私が訊くと、彼は首を横に振った。 「残念だけど……死体の状態だけを言われても難しいなぁ」 ごめんね。 彼はそう言って申し訳なさそうに目を伏せた。申し訳ないのは寧ろ私の方だ。殺して、と頼んだにも関わらず、こうして、面倒な事は全部、押し付けようとしているのだから。 いや、殺してと頼んでいる時点で押し付けているようなものだ。 けれど、 「私だってどんな死に方が良いとか解らないもの」 やはり、面倒なものは面倒で仕方無い。 「それ、無責任だよね」 彼は苦笑した。 「面倒なのは嫌」 私も苦笑した。 同じ姿勢で見つめ合いながら、私たちは笑いあう。呆れている訳でも、小馬鹿にしている訳でも無い。 ただ、笑いたいから笑った。
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