泡沫の夢

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「君にはまだ必要なんだね」 先程もそうだったが、彼の主語を抜かす癖は顕在のままだ。だから、理解するまでに毎回時間が掛かる。そして、私が理解する前に、彼は必ず言葉を付け加える。 「"オレ"がいないと困る」 「あぁ」 そこで私は理解した。以前と同じように。そこら辺、私も何ひとつ変わっていないのだと自覚させられる。それでも、構わなかった。 「うん。そうだね」 私は正直に答える。 「そっか」 「そうだよ」 「うんうん」 彼は満足げに何度も頷いた。頷いた後、私の頭を撫でてくる。
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