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「ふぅ、ありがとう助かったよ。」
俺の目の前に居たのは空色の髪でショートの綺麗な女性だった。
「君は二階堂隼人君だよね?」
……なんで俺の名前が分かる…
俺はこの人と会ったのは今回が初めてだぞ。
「あのぅ、貴女は?」
「自己紹介がまだだったわね。私は三日月夜宵(みかづきやよい)貴方と同じ一年生、2組、歳はまだ誕生日を向かえてないから16歳よ。」
此処の学校は学年に付き6クラスある。俺と白銀と雫は1組だから、他のクラスとの面識は皆無に等しい。
「それは良いとして、何故俺の名を?」
「人間魚雷と表象される君は学校中の噂の代表だね」
……つまりだ。俺はあの超天災の隣に居るせいで学校中の悪い噂の根源で人間魚雷と言う謎のレッテルを貼られている訳か。
うん、実に不愉快だ。
「実は君にお願いがあるんだよね」
「お願い?」
「そう、お願い」
見ず知らずの他人にいきなりお願いをするのか…
もし、聞き入れなかった場合はどうするのだろうか…
「大丈夫よ。悪いお願いではないわ。寧ろ利益になる話よ」
……聞くだけ聞いてみよう。それから判断をしてもおかしくはないはずだ。
「今回の実技試験、私の妹と組みなさい!」
成る程
「俺がこのままだと実技試験に出れないことを知っているのか」
「風の噂ってやつよ。
妹は無口な子でね。友達が出来ないのよ。だから、貴方と同じでペアが出来なくて困っていたの」
そこにちょうど良く居たのが俺だったのか
「貴方は実技は程々出来るみたいだし、あの子も安心すると思うの」
しかしだ。そこに一つ問題がある。
「俺からしてはありがたいのだが、人間魚雷とされている俺がその子あってしまうとその子は怖がるんじゃないか?」
「問題ないわ。あの子見た目で人を見ないし、それに」
それに?
「貴方そんなに悪い人じゃ無いもの」
と夜宵は言って部屋から出ていってしまった。
じゃいっちょ探しますか
と言って扉を開けようとすると、ドアノブがガチャリと捻られて、空色の髪でショートの眼鏡を掛けた少女がいた。
もしや……
「貴女は三日月さん?」
コクッと少女は頷いた。この子だ。此処はこの子の部室だったのであろう。
放課後に茶道室に荷物を持ってきたとなれば答えは一つだしな。
「あの、お願いを聞いてもらえませんか?」
俺は出来るだけ怖がらせないように優しく話すと…
「……上がって…」
とぶっきらぼうに言われた。
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