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電気を消したはずなのにまぶたの裏に見える光に目を開くと、眠っていたはずの自分の家の寝室のベットの上とはまったく別の、どもまでも続く草原の上に立っていた
「は?なんやここ」
いきなり見た事もない場所に立っていた事に、訳が分からず声を出すが、返事は当然ない
「ちっ・・・ん?なんやあれ?・・・・洋式の神殿?」
あまりにも訳のわからない状況に舌打ち混じりになんとなく後ろを向いてみると、緩やかな丘の上に西洋式の神殿が
「おぅファンタジー・・・」
とりあえずじっとしてても仕方ないので神殿に向うことにした
「・・・・・無駄にデカッ」
人の気配が全く無いのに高さだけがやたらと高い神殿に、呆れた溜息が漏れるが、やはり返事や反応する声はない
ゴンゴンゴン
「誰かおる~?」
やたらとサイズと装飾に凝った門を叩くが、やはり返事はない
「入るでぇ」
仕方ないと割り切って、とりあえず入る
神殿の中は全部がホールとなっていて、部屋や2階があるようには見えないし、やはり誰も居ないようだった
「無駄なもんが多過ぎるんとちゃう?この神殿・・・ん?」
「なぁ~お」
「クロ?なしてこないな場所に?」
「なぉ・・・」
「いや、マジでわからんわぁ」
「これ夢だよ」
「は?」
飼い猫クロが喋った、そんな事態に一瞬固まると、神殿が砂になって風に溶け始めた
「夢は終わりなん?」
「夢は夢だと気付くと終わるんだよ」
「夢やと生意気やなぁクロは」
「そう?まぁいいじゃない夢なんだから」
「そんなもんか?」
「そんなもんさ」
◆◇◆◇◆◇
「にゃお」
「ん?・・・おおクロ、おはよう」
「なぅ」
目を開けると、胸の上に座ったクロが鳴いていた
「なんや夢を見てた気がするんやけどなぁ・・・なんやったっけ?」
「にゃう?」
「まぁええわ、朝ごはんにしよか」
「にゃうん♪」
朝食を軽く済ませたあと、仏間に行って仏壇に手を合わせる
「父、母、今日からじいちゃん家に行くからしばらく手は合わせられんくなる、堪忍な~」
「なぁ~お」
「クロも一緒に行くから寂しいかもしれんけど・・・・・別に寂しゅうないか、此処やのうて天国に居るんやもんなぁ」
「なぉ?!」
「何驚いとるん?あの父と母が何時までも現世に留まってる訳ないやん「天国旅行だー!」て走り回ってるんが目に見えるわ」
「な、なぁう・・・」
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