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乗り換えにバスモ合わせて5時間半、さらに歩いて1時間、そんな辺鄙な場所にある一軒家
そこに祖父は1人で暮らしている
「じいちゃ~ん来たで」
出迎えも何も無い玄関をさっさと開けて中に上がると、祖父は縁側で作業していた
「おお、来たか・・・そん籠は?」
「前から言っとったろ?クロや」
「なぁ~お」
「ほぉ・・・で、宿題は持ってきたか?」
「学校に忘れてもうて、いたいっ」
拳骨を落とされたすごく痛い
「取りに戻らんかアホ」
「せやかてあんなん夏休みの友やない、敵や」
「アホが・・・早速来たところ悪いが今日の夕飯、材料が無くてなぁ」
「はあ・・・マジ?」
「腕は鈍っておらんやろうな?」
「いきなりすぎやろ」
そう言って祖父が差し出す手の中にあるのは
弓と矢筒に詰まった矢
祖父の家では飯は全てが自給自足、辺りの山全部が祖父の所有物である為に狩りも出来るのだ
「兎でええ?」
「ええが、今の時期は鹿が美味いで?」
「重いんはいややわ」
「・・・まぁええか、儂は山菜採ってくるから1時間で戻り」
「へいへい、ほな行ってくるわ」
弓矢を受け取りヒラヒラと手を振りながら玄関を出る、クロは縁側で昼寝か、ええなぁ
◆◇◆◇◆◇
姿勢を低く保ちながら両の眼はまっすぐ獲物を見据える
視線の先居るのは野兎だ、丸々と太って食べ頃だろうと思うと舌なめずりしてしまう
(気ぃついてへんみたいやなぁ・・・堪忍な)
こちらの存在に気付かず草を食む兎にゆっくりと弓を構え矢を番える
そしてゆっくりと矢を引き、矢を放った
「っ!」
放たれた矢は吸い込まれるように兎の胸に突き刺さり、一瞬で命を奪う
「・・・・・上手い具合に当たったなぁ、即死か」
力なく地面に伏す兎を持ち上げ、矢筒に付いてた小刀を使って血を抜く作業に移った
「じいちゃんは今頃松茸でも採ってるんやろか?」
その頃じいちゃん
「ぬおお!?」
「ぐおおぉぉぉ!!」
熊と素手で戦っていた
◆◇◆◇◆◇
「ただいまあ・・・なんやこれ?」
「見てわからんか?熊や」
「なんや血抜き用以外刺し傷が見当たらへんけど・・・」
「殴り倒したからなあ」
(年々化物じみてくなあじいちゃんは)
「で、山菜は?」
「 あ 」
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