第1話

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囲炉裏を囲んで夕飯なう 「やっぱ山育ちの熊はくっさいのぉ」 「せやろか?結構美味い思うけど」 「中々渋い舌持っとるなあ。久しぶりの狩りはどうやった?」 「別に、普通やったわ」 じいちゃん的にはちょっと失敗して欲しかったといった苦笑いを浮かべている。余裕やったわ 「それで?学校はどうや?虐められとりゃせんか?」 「なんで虐められなあかんねん」 「そりゃあ、お前の言葉遣いは時々おかしいからなあ、変な言葉遣いは弄りたい年頃やろ」 確かに父と母は違う方言を使ってたから所々おかしいかもしれんけど 「そないな餓鬼おらんわ、それに学校じゃ大して喋らんし」 「まぁだ、人見知りしとるんかいな」 「別にええやん」 「そやなぁ・・・どれ、久しぶりに一緒に風呂でも入るか?」 「えらい話が変わったなあ・・・まぁ、ええよ」 「えっ」 「なんで驚いとるん?自分から言い出したんやないか」 「年頃やから断られる思うとったわ」 「なんやそれ」 「じゃあ行くかいな」 「まずは洗い物が先や」 「そやったな」 ◆◇◆◇◆◇ 次の日 パカンッ 窓から差し込む陽の光とじいちゃんの薪割りの音に目が覚める まだ6時やないか、朝っぱらから元気なじいさんやなあ 「ふぁあ・・・ん?今日はクロより早いんか」 「zzZZ」 布団の隅で丸くなって寝てるクロを軽く撫でて布団から出る 薪割りを手伝って汗をかいたのでシャワーを浴びる じいちゃんははっきり言って変人だ、この家は山奥にある、近くに他の家はない、これだけ聞けば田舎の一人暮らしの家を想像するだろうが じいちゃんの場合、太陽光発電パネル、全自動給湯器、床暖房、ets、色々と機能がありすぎて訳が分からないこの家は、下手な高級住宅より金がかかってる (今更やけど、薪割りする意味がわからん) 「そういえば父の親やもんな、変なんは当たり前か」 「朝飯が出来たぞ」 シャワーから出たところでじいちゃんが脱衣所に顔をのぞかせる 体をタオルで拭きながらすぐ行くと言い、拭き終わると素早くジャージに着替えた 「そういえば・・・最近、山で変な事があってな、一晩で森の一部がごっそり消えてたりするんよ」 朝飯を食べていると、不意に最近の山の話を始めたじいちゃん それを黙って聞く (なんや、オカルトにまで興味持ちだしたんか)
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