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まるで小さい子に怖い話を話すかのように大きく身振り手振りを使って話すじいちゃん
「なんやろねあれ、別に土砂崩れいう訳でもないのにまるでスプーンですくったように森の一部がごっそり消えるんよ」
「・・・・もしかして山の中腹にあった池て・・・」
昨日の兎狩りの時に見つけた不自然な円の池を思い出した
「おお、そこやそこ」
「自然に出来たもんにしてはえらい綺麗な丸やったから、じいちゃんが掘ったのかと思ったわ」
「どんだけ暇なんや儂は」
「知らん」
「知らん、て・・・はぁ、今日も山に入ってもらうけど、気ぃ付けぇよ?」
「ん」
(そないな事言うなら山に入らんでもええんやない?熊肉あるんやし)
◆◇◆◇◆◇
「まさか一晩で熊肉に飽きる思わんかったわ」
熊肉は飽きたから鹿肉を取って来いと山に放り出された
あの人は孫を心配してるのかしてないのかわからん
「気ぃ付けぇって言われても、何を気ぃ付けたらええねん」
そんな疑問は虚しく空気に溶ける、溜息を零し鹿の足跡を探そうと地面に視線を落とした時
ザワッ
「―――っ!?」
肌が泡立つような感覚に襲われ頭を上げる
(なんや?なんかおかしいでこれ・・・)
空気が淀んでるような感覚と周囲が歪んでいる感覚が肌と目から伝わってくる
(なんや、ここの居ったらあかん気がする)
急いで離れようと足に力を入れた瞬間
周りの景色、空間が歪み突然の浮遊感に襲われる
(なんやこれ、落ちとる?)
そうしてるうちに視界がどんどん暗くなり、意識が闇に包まれた
◆◇◆◇◆◇
「ん・・・んあ?」
瞼の裏に眩しいほどの光を感じて目が覚める、どうやら気を失って倒れていたようだ
体を起こし服に付いた土を叩く
「なんや・・・見た事ある気ぃする場所やなぁ」
起きて立っているこの場所、何日か前に夢で見た草原だった
「ああ、そうや。夢で見たんや、夢の通りやと後ろに・・・やっぱあった」
振り向くと、これまた夢で見た神殿がそびえ建つ、また夢かと思い頬を抓るが、すごく痛かった
「夢やないんやったら、なんやこの状況。ファンタジーゲームかいな」
あまりにもアレな状況に頭を抱えてため息をつくと、一つ夢とは違うものに気が付く
「なんか、神殿の中がえらい騒がしい気がするなぁ」
そう、神殿から感じる気配があるのだ。
「なんや町役場みたいな気配やな」
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