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「前言撤回だ。貴様が強いのは、100歩譲って認めよう。」
先に言っておくが、会場は常に盛り上がっている。それこそ、戦闘中の音がたまに聞こえない程に。
…だが、それでもロードの殺意に満ちた瞳は全てを静寂に移行させた。
「だが、この僕を見下すのはまだ早い。それに、飢えてるのは君だけじゃない。僕も、そして‘‘コイツも”飢えてるんだ。」
チャキ…
昼下がりにしては、怪しく陽光を反射し続ける紅い洋剣。呪われているのではないかと思う程にソレは不気味で、美しい。
「まだ、血が足りないんだよ。コイツを満足させる程の血が。」
ロードは少しだけ笑った。快楽殺人者や、サイコパスにも見えるその囁かな微笑は、見る者の心を奪った。
「フルンティン。」
ギ…ン。
ロードの声掛けに答えるように、【鮮血騎士】《レッド ナイト》の由来ともなった紅剣は小さく唸った。
「………」
「………」
両者、棒立ちのまま睨み合う。江雲寺は雷輪に拘束されたまま。彼は常に喉に剣を押し当てられたような錯覚にいた。
ユラ…
その時、ロードがほんの数m。上半身が前に傾いた。
(来る……!!)
「居合い…」
この時、大輔は魔法や剣の能力主体で戦っていたロードが剣術にも磨きを掛けていた事に気付いた。
「ったく、ヒヤヒヤさせやがって。とっとと倒して来い…」
ドギャッ!
次の瞬間には、江雲寺の胸腹部には深く刀傷が刻まれた。
「【紅奔】《あかばしり》。」
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