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「不思議だろ?『何で魔力もねぇのにヘラヘラ立ってんだって』…そう思ってんだろ?」
ドクン!
江雲寺の問い掛けは、ロードの胸中を見事に撃ち抜いた。
青い瞳を苛立ちに染め、金色の前髪を少し掻き分ける。
「どういうカラクリだ、貴様の魔力はもう底を尽きている筈だ、何故立てる?」
「はっ……この魔法界、どこまで行っても常識は通用しねぇぜ?」
挑発にも似た笑みは、ロードを蔑見した。
「理屈は至って簡素さ……?」
ググッ…
鍛え抜かれた剛腕を、振り上げた。
「何を…?」
ロードが問い掛ける前に、地面が異常なまでに抉れた。
ドゴボガァッ!!
「っ!?」
「さっき喰った実、アレは俺の持ち得る全魔力を消化する代わりに、俺の全筋細胞・全神経細胞体を活性化させる効力がある。」
剛拳が抉った地面は一つの深い亀裂を皮切りに、闘技場内の地面を抉り散らした。
ドゴゴドドゴォンッ!!
「ロード・リング・ハザードォォォ!!」
傷だらけながら、江雲寺は獣の如く叫ぶ。
「身体の髄までブチのめしてやっから、覚悟しやがれ。」
「本気……?はっ…上等だ、かかって来い、力だけでは俺に勝てんぞ。」
金髪蒼目の少年もまた、獣の如き眼光を宿す…
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