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江雲寺が動く前に、ロードが動いた。圧倒的なパワーの前には、それを封殺する手立てを先手を打って動く事が大事だとロードは知っていた。
「【シャイニングアロー】!」
白銀に照り輝く矢を放つ。高速のそれは、驚異的な貫通力を誇る、幾ら剛健な江雲寺でさえ、耐え切れないだろう。
「小賢しいなぁ…!」
バキャッ!
だがそれは、意図も容易く握り潰された。
「そんなにビックリすんなよ…」
「っ!?しまっ…!」
ドガァンッ!
拳による殴打音とは思えぬ、鈍い音が響いた。それに伴いロードはまた場内隅まで吹き飛ばされた。
ドゴォォォォン!!
壁に減り込むロード、それにより江雲寺の破壊力を全員が認識した。
「ッグァ…!」
速過ぎる上に、一度攻撃モーションに入ってしまうともう止める手立てがない、これには流石のロードも舌巻いた。
ギシ、
「………【フルンティン】!」
ドロリ。
鋭く呼び掛け、紅剣を溶解させた。
「それが、貴様の本気か…?」
「あ''ん?」
『おぉーとぉ!コレは!ロード選手も本気かぁ!?』
溶解した紅剣、それらはやがて一つの形を創る…
強靭な四つの脚。広げられた翼は砂塵を巻き上げ、三頭のそれぞれの牙、眼は全てを威圧する…
逞しく、三つの頭を有する紅黒い龍は、その大口を天に向けた。
「【ヴァジュラ】。」
『ギギャァァァァォ!!』
剣を変幻させ、呼び出した筈のモノなのに、まるで本物の生命体のようなクオリティ。これがロードの本気だ。
「来い、貴様の全力に敬意を表し、俺も全力で貴様を叩き潰すっ………!!」
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