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ゾウ程の大きさの龍。ソレは低く唸りながら、獲物たる江雲寺を視界に捉える。
「けっ!所詮は剣だろ!?ブチのめしてやるよ!!」
「やってみろ。」
江雲寺は龍の頭目掛けて飛んだ。
「っ…飛べぇ!!」
ドゴォッ!
轟音鳴らす拳は、龍の頭の一つを撃ち抜いた。
一つの頭が大きく仰け反るが、残りの二つの頭がそれぞれの眼をギラリと光らす。
『ギギャァァ!』
ブゥン…
気付くのが遅かった、神経を極限まで高めた江雲寺でさえ、紅龍の尾による鮮撃は目覚ましモノだった。
ドバァァン!
「痛っ……ぇ!!」
今の一撃でさえかなりの破壊力だが、何とか踏み止まる。やはり耐久力も底上げされているようだ。
「【ヴァジュラ】、吹き飛ばせ。」
ギュオォォ…
塒を巻いて、三頭の口内に魔力が凝集し始めた。
「【トライデント】!!」
ゴウッ!!
三撃の魔力砲は、三頭の顎から勢い良く撃ち出された。
(これは、流石に防げねぇ!)
力勝負に負けを悟ると、地を砕き大きな土壁を投げつけ、勢いを殺しつつ回避した。
「…意外と冷静だな?」
「っ!?」
紅龍だけに集中し過ぎて、本体の存在を忘れていた。
気付けば目前に金髪の少年がいた。
「【ウィッシュボーン】!!」
ジャララ!
数珠繋ぎの銀玉の魔力体は、蛇のように走り江雲寺に巻きついた。
「っ…?何だ、コレ!」
「すまないな、終わらせてもらう。」
「っ…!!」
ロードの宣言は、銀の数珠を刺々しい形状へと変化させた。
「【アイゼン・レイド】!!」
ズバァッ!
江雲寺の全身は鮮血に塗れた。
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