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頭を抑えて涙目の二人は猛者の面影は微塵もない。
「イデェ…」
「エレンのヤツ、腕上げたな。いや、拳か…」
「バカ晒してないで、アンタ達も探しなさいよ。」
今日は曇りと聞いていたが、この快晴。天気には感謝の一言だ。
「すまないな、エレン。いつもコイツらの世話役を頼んで、いつも助かってるよ。」
「え、本っ当ぉ?そんな対した事はしてないよぉ!私は、ノ…ノアと一緒にいられれば……!」
「?すまない、最後だけ聞き取れなかったんだが。」
「ぃ、いや!何でもない何でもない!探そ?」
紅潮するエレンを後ろに上杉・カイの悪童コンビはケラケラと笑っていた。
ホテル街の最奥まで来たが、まるで手掛かりすらない。これは、このエリアにはいないという事だろうか。
「自警団っつって日本でもトップクラスの東京管区の精鋭だ。数人をたった一人で殺しもせずに全員気絶させる程の実力者…そう簡単には尻尾見せねーか。」
上杉はボヤくが、状況は変わらない。
『待てよ、バルクリン。』
「!!」
そんな時、敵意を多分に含んだ言葉が四人の背後より投げられた。
勢い良く振り返る四人は、カイを除いて瞬時に武器を顕現する。その瞬発力と機転はやはり長年の経験を伺わせる。
立っていたのは、大輔達と同い年くらいの少年。白いパーカーに白いパンツ、今日は白のニット帽を目深に被っており、パーカーも重なって顔は非常に分かりづらい。
少年は濃い影の中、口を開いた。
「【龍神】、【神童】、【狂犬】、【双頭の鷲】、それにお前らが来れば【風神】も付いて来る…」
「……何が言いたい。」
「なぁ、お前ら…」
ノアの問い掛けに、少年はニタリと笑う。
「俺と組まねぇか?一緒に世界を獲ろうぜ。」
『!?』
素っ頓狂な事を言い出した。
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